「ゆーすけ? 居るや?」
「おう!かおる。今日は休みや?」
「そうたい。雨の降ったけん昼で終わったったい」
既にかおるは、先輩の大工さんに付いて、新築の現場に出ており、すっかり大工の顔になりつつあった。
「そら、よかばってん。なんねこのバイクは?」
「そうやろう! バイク通学を許可されとらん奴が、うちにバイクば停めさせてくれって、みんな置いて行くんよ」
「それにしたっちゃ、何台くらい有ると?」
「知らんよ。15台くらいは有るやろうね」

数日後・・・
「ゆーすけ! バイクば停めさせてくれんね?」
「おう、佐藤君やなかね」
佐藤は、同じクラスで、ちょっといい男で性格も温厚なバスケ部の1年生エースだ。
「なんやお前。お前ん所は、バイク通学ば許可されとっとじゃなかや?」
学校から、片道12キロ以上のところからの通学は、申請をするとバイク通学が許可されるのである。
「よかけん。このバイクば置かせてくれんね?」
「よかよ。そこの隅にでも置いとけば」

「ゆーすけ?バイクの色ば塗り換えようと思うっとっとばってん、お前得意やろう?」 佐藤がぼそっと言った。
「得意って言うより、好きばい。何色にすると?」
「お前に任するけん、綺麗に塗っといて?」


「ゆーすけ。放課後に教官室に集まれってばい」
「なんね。何の話やろか? くろは何も聞いとらんとや?」
「知らんばい。そばってんが、先生の何か機嫌の悪かろうごたるばい」

「みんな集まったか? 今からみんなに話しばせんといかんとばってん、そん前にお前たちに聞いておかないかん事のある」
「くろ、何かややこしかごたるね?」「何やろかね?」
「おととい、看護科の実習室の前のバイク置き場のバイクが盗まれたと届け出があった。」 「お前たちじゃなかよな!」
「知らんですよ。看護科の実習室には近寄らんですばい」
「あの辺ばうろうろしよったら、ちなみやら照美やらから、
何言われるか知れんとに。やかましく言わるるけん、あの辺は行かんですよ」
ゆーすけは、中学からの知り合いの女友達が、かなり幅を利かせている事で、ややこしい事には首を突っ込まない様にしてた。

「解った。疑ごうてすまん。一応聞かないかん事やけん」
「先生、盗まれたバイクはどげなバイクですか?」
「ヤマハの50CCで、青かげなたい」
「ふう~ん・・・・・・・」

「鍵ば掛けとるとに、どげんしたっちゃろかね?」
「ゆ~すけでもしきろうが。直結ば」
「そんなら、同じ科の奴やろね」
「くろ。そらよかばってん、今日はうちに寄って行くか?」
「そうやね、何か食べもんの有るなら、寄るばい」

「ゆ~すけ、なんやこのバイクは?また増えとるやんね」
「そうたい。この間かおるが数えたら、17台やったもんね」
「みんな、部活の終わるのが遅かろうが。だけんバイクで通ったほうが楽やけんて、置いて行くったい」
「こんバイクは色ば換えるとか?」
「佐藤から頼まれて、塗ってやりよっと」
「おい・・・ゆ~すけ?・・・ 佐藤が乗っとるバイクはこれじゃなかばい! 2台目ば買ったつやろか?」
くろと佐藤は小学生のころからの幼なじみだった。
「あいつが乗ってるバイクはホンダばい。買いに行く時一緒に谷口モータースに付いて行ったけん、知っとるとよ」
「知らんよ! 誰か違う人から借りとっとやろ」

「くろ! おかしかばい!借りとるバイクは塗り換えたりせんばい!!」
「ヤマハのバイク・・・・ 青色・・・」

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ゆ~すけは、今年高校に入ったばかりの16歳
無理やり入れられた自動車部。
特にやりたいことも無く、ただぼうっとしてたら、入部する事に。

「よ~し!みんな!」
「明日から夏休みだし、1日中 部活の出来るゾ!」
最近の自動車部は、一般のお客から車検整備の依頼があり、
「これも、お前たちの経験やけん、ちゃんとやれよ!」

「ゆ~すけ、知っとるか?」「なんば?」
「俺たちがくさ、車検の整備ばしよるやろが」
「この工賃やらの料金がどうなっとる知っとるか?」
「しらんくさ。俺には関係のなかけん」
「そうやろ~。先生たちの趣味に消えよるとゾ!」
「趣味てなんやぁ?」「いろいろくさ」

夏休み初日から、2台の整備が入ってきた。
「1年生は知らん事があろうけん、タイヤば外したり、下回りば
洗うたりして、先輩に終わったら報告ばするごつ!」
「くろ、俺たち毎日こればせないかんとやろか?」
「しょんなかくさ。先輩なんかもしよらしたろうけん」
「俺くさ。雲仙にツーリングに行く約束ばしたけん、いつか休みば
貰おうかて思うとると」

「お~い!そこの二人!」「ちょっとこっち来い!」
「井上先生の呼びよらすばい」
「何ですか?」
「俺の車にガソリンば入れて来てくれ!」
「はっ??」
車の免許はまだ取得出来る歳でもないが、部活で整備完了車を
移動させたり、走行試験をやったりするために、毎日運転は必要に
なっているので、運転技術は特に問題はない状態であった。
「先生、ガソリンって、何処で入れるとですか?」
「ガソリンはガソリンスタンドやろうもん!!」
「学校の外ですよ」
「当たり前たい!学校がガソリンスタンドを経営しとるなんて聞いた事もなかゾ!」
「ばっってん、免許のなかですよ! まだ16ですけん」
「だけんなんや? スタンドの場所は知っとっど?」
「はい。国道沿いの、本村の交差点のところでしょう?」
「このカードで満タンにして来い!」
「はい・・・・・」

「くろ、お前運転しきろうが。俺は横に座っとくけん」
「俺は嫌ばい!」「ゆ~すけがせんね!」
「お前知っとるか!井上先生の車、あれゾ!」

無類のスポーツカー好きの井上先生の愛用車は、みんなが憧れる、「フェアレディ・ゼット432」である。
その他にも、「ホンダS800」も実習工場のピットに入っているのも、井上先生の所有。

「じゃ、俺が運転せんならいかんと!」
「おい!これってノークラばい」 最近普及し始めた、いわゆるオートマティック車だった。
「運転したことなかゾ!」「よかくさ。クラッチば踏まんだけやろ」
そんなこんなで、エンジン始動。心地良い振動が体に響き、いざ出発。
「くろ!!前の見えん!!」
車のノーズ部分が異様に長く、おまけにキャブレター部分がもっこりと盛り上がっているのだ。
「よかくさ!適当に勘で運転しろ!」
「えぇっ・・・!」
「校門までの坂は、かなり急やろ。全然前の見えんやろ!!」
「俺が見てやるけん。ゆっくり行くとよか」

どうにか校門をクリアし、市道へ出たのである。
「おいおい!車のいっぱい通りよるゾ!」
「当たり前くさ!普通の道やもん!」
「お前、薄情やねぇ。少しは心配ばせんか!」
鮮やかな黄色の「フェアレディZ」が颯爽? と走り出したのである。

「今、何キロ出とる!」「35キロ」
「かっこ悪かし、無免許ってすぐばれるゾ!」
「よかくさ!ばってん、派出所の前はチョット緊張するね」
「そこば左に曲がったら、警察はおらんばい!」

「いらっしゃいませ!!」「オーライ!オーライ!」
「すっません!こんカードで満タンお願いします。有鉛ば」

「こら!!おまえターチュンんげの弟のゆ~すけやろ!!」
「あっ!先輩! 先生のガソリンば入れて来い!って言わしたけん」
「お前、何処もぶつけとらんめねぇ?」
「取りあえずは」

さすがに車好きが集まるガソリンスタンドである。
みんなが寄ってきて、いろいろ聞かれるが、何をどう言ったらいいのか
しどろもどろであった。「すんまっしぇ~ん。ひとん車ですけん、なぁ~も知らんとですよ」

やっとの思いで学校に戻り、先生にキーを渡し、「行ってきました!」
「おう!」「洗ろうとって!」
「はぁ?」
「くろ!!頼んだばい」「俺の仕事は終わり!」

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